STEP 1薬剤選定の基礎を理解する

05薬剤選定攻略マニュアル

基礎知識

全てのヘアカラーは色の三大要素である「明度・彩度・色相」から作られている。

ベースのイメージから仕上がりのイメージにする際「色の三大要素」がそれぞれどれくらいなのか?を考えながら薬剤選定をすることで、目的の色を出しやすくなります。

明度 彩度 色相
明度とは?

例)同じグレーベース(色相は同じ)での明度の違い

ティントの総量が多ければ多いほど明度は低くなり、逆に少ないほど明度は高くなります。
→ ティント=色相のこと(赤/黄/青の色味)

明度は「ティントの総量」で決まる

髪の毛をコップに例えて考えてみます。
明度が低いのはコップがティントで満たされている状態。
明度が高いのはコップが空っぽに近い状態と言えます。

彩度とは?

例)同じ紫系のカラーでの彩度の違い

グレーに近ければ近いほど彩度は低く、誰からみても何色か分かるカラーは彩度が高いと言えます。
三原色のバランスで彩度が変わります。(後ほど解説します)

彩度は「三原色のバランス」で決まる

紫系のカラーで考えてみましょう。
髪の中の黄色に対して、赤と青がどのくらいの量入っているかで彩度が決まります。

黄色の量よりも少しだけ赤と青が多い

彩度の低い

赤と青の割合がさらに多い

彩度の高い

色相とは?

色々な色相がありますが、基本的にこの7つをおさえておけば間違いありません。
「お客様の求めている色相はこの中のどれか?」を探します。

無彩色(黒・白)
  • アカ
  • アオ
  • キイロ
  • オレンジ
  • ムラサキ
  • ミドリ
髪に含まれるメラニン早見表

髪のメラニンに対して何を足せば希望する色味になるのか?
レベルごとのメラニンをしっかりと理解しておくことをお勧めします。

各明度のピグメントバー
ベースの考え方
ユウメラニン
ユウメラニン

色:黒〜茶色

アルカリカラーで壊れる

フェオメラニン
フェオメラニン

色:赤〜黄色

ブリーチで壊れる(過硫酸塩)

1〜5Lv
  • ユウメラニン
6〜16.5Lv
  • ユウメラニン
  • フェオメラニン
17〜19.5Lv
  • フェオメラニン

アルカリカラーではトーンアップしない領域

アルカリカラーの流れ
髪の明度について
バージン毛に8レベルの薬を使った場合(3パターン)

脱色作用でメラミンが削られ薬剤がのるということ

例えば、8Lvの薬剤を使うと10Lvまで髪のメラニンは削られ、その上にティントが乗ることで8Lvに仕上がる。

薬剤選定の考え方

薬剤選定が難しい理由

同じ薬を使ってもベースによって
色が変わるから

薬剤の考え方
POINT

カラー剤によっておこる脱色作用によって、ベースのメラニンが削られたところへ薬剤がのるという事を理解する。

ベースとは?
染める前の色
ブラウンだったり、黄色だったり、前回の残留が残っていたり、状態は様々です。
染める前の色
白い毛束に染めた
カラーチャート
15〜20Lvのブリーチありカラーを行う際は、白毛束に染めたカラーチャートを参考にする
茶色い毛束に染めた
カラーチャート
5〜14Lvまでのブリーチなしカラーを行う際は、茶色の毛束に染めたカラーチャートを参考にする

薬剤選定の3つの要素

目的色Main
カラーチャートの色

作りたい色

補色Sbstitute
ベースの色素の反対色

ベースを無彩色に近づけるための色

補正色Correction
ベースの色素の差を補う色

ベースの色ムラを馴染ませるための色

薬剤選定

薬剤選定の3つの型

  • Main = 目的色
  • Sbstitute = 補色
  • Correction = 補正
MS型

基本的な薬剤選定で失敗しにくい

MSC型

ベースのティントの差を埋めることができる

S型

明度を下げずに彩度を下げることができる

ピグメントバーの推移
MS型
MSC型
S型
MS型

ほとんどの場合この型でOK

メリット

ベースのティントに多少の差があっても馴染むので、失敗するリスクが少ない

デメリット

明度を下げたい場合「S型」よりも明度がさがる

MSC型

例)既染部と新生部を完全に揃えたいハイライト馴染ませたい

メリット

ベースのティントが多い部分と少ない部分の差を埋めて一色に見せられる

デメリット

明度が下がり茶色味が残りやすい

S型

例)ブリーチなしグレー真っ白のホワイトなど

メリット

明度を極力下げずに彩度を下げられる(無彩色を作れる)

デメリット

ベースのティントに色味が振られやすいので色ムラのリスクがある

具体例
MS型
MSC型
S型

まとめ

今回の内容が基本的な薬剤選定の考え方になります。

目的色だけで作るM型・目的色+補正で作るMC型も例外としては起こり得ますので、今回の内容をマスターした方のみ考えてみてください。

基本的に今回ご紹介した

MS型MSC型S型3種類でどのケースにも対応可能です。